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ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの将来が危険に晒されているというアメリカのニュースを読まれたことがある方、正直にお話しすると、DEIが非難の的になっているのは今に始まったことではありません。
つい昨年、シリコンバレー銀行の破綻が「ダイバーシティに気を取られた」ことが原因とアンディー・ケスラー氏は述べており、私たちは彼の意見を擁護していました。
しかし、プレッシャーが増加したときに変化は起こるもので、コロナウイルスが最近の事例に挙げられます。社員からの在宅勤務やフレキシブルな働き方への要請の増加に、会社の対応が全く追いつかず、世界的規模のパンデミックに在宅勤務の取り組みを異例のスピードで加速化せざるを得ない状況を目の当たりにしました。
パンデミックが収束しても、DEIの推進が停滞しているなか、どんなイベントが起きればDEIを加速することができるのだろうかと考えていると、アメリカでの訴訟事件が起き、多くの企業が非難を浴びました。これは私たちにとっては良いチャンスだと捉え、この状況を最大限に活かすべきだと考えました。
1. DEIイニシアティブからDEI統合へと拡大しましょう
DEIの取り組みは、組織戦略に組み込まれたときに最も大きな効果を発揮します。さらに言えば、DEIの取り組みがビジネスの成功にとって重要かつ不可欠なものであれば、DEIの擁護はより容易になります。
ステップ1:DEIを人事内のみで留まらせないこと。DEIは組織のあらゆる側面に影響を与えます。DEIを人事のみの管理下に置くと、影響力が弱まり、一番見落としされがちになってしまいます。人事は伝統的に組織を守るためのリスク軽減に重点を置いていますが、リスクを取ることによってDEIは価値を創造し成長するものです。DEIは、業績に大きく貢献する重要な機能として扱われるべきです。
これを達成するために、DEIはビジネスリーダーが管理し、主要な指標をビジネスユニットのKPIに組み込むべきです。さらに、DEIはすべてのチームの働き方に織り込まれる必要があり、インクルーシブな行動を維持し、すべての採用や昇進の決定において公平性が最優先されなければなりません。
2. 実際に実行しましょう
これまでのDEIは、永続的でインパクトのある変化を起こす目的というよりも、ブランドイメージに焦点を当てた形式的な取り組みが中心になっていました。DEIの取り組みに対する外部からの評価がますます厳しくなる中、外部からの評価を重視した表面的な取り組みではなく、内部からインパクトをもたらし、成長できるような取り組みに移行することが求められています。
この機会に、現在実施しているイニシアティブと、期待される成果を評価してみましょう。すべてのイニシアティブは、ビジネスの優先事項と密接に関連し、効果測定の仕組みが整っていなければなりません。単なる見世物のような活動には異議を唱えるべきです。真の永続的な成長をもたらす活動から、資金、労力、リソースを奪っていることになります。
DEIの精査から上手くごまかして逃げ切れる時代は終わりました。オーストラリアでは、男女賃金格差のデータが公開される瀬戸際にあります。組織には、存在している格差について擁護する声明を発表する機会がありますが、妥当だと評価されるためには、具体的な措置とその期待される結果を示す必要があります。
3. 努力の量は変えずに、ポジショニングとメッセージの伝え方を調整しましょう
権力の再分配、変化への抵抗、そして “知覚された “脅威を理由に、DEIへの反発に対応することは、DEIの課題が発端してから変わらず求められています。全体的にDEIへの取り組みをどのように伝え、位置付けを認識し、メッセージに一貫性を持たせることに焦点を置く必要があります。
新しいDEIイニシアティブやプロジェクトを立ち上げたり、展開したりする際には、それがどのようにして生まれたのか、どのようにビジネスをサポートすることを意図しているのか、そしてそれをサポートするために全社員が果たす役割を明確にしましょう。社員の様々な視点を考慮し、イニシアティブの結果として認識するかもしれない脅威を予測し、コミュニケーション戦略においてこれらを積極的に対処しましょう。
DEI推進は次から次へと新たな課題に直面しているように感じますが、今がまさに長年の取り組みが実現できるチャンスで、DEIの完全な統合が当たり前になり、ビジネスの基本となることに大きく期待しています。
アンジェリカ・ハント、TDC Globalのマーケティングディレクターにより執筆