『女性はテクノロジー業界や技術職に興味がない。』
この思い込みは誤りに過ぎません。優秀な女性人材の確保に苦労している企業は、女性が組織内で昇進するための機会を積極的に提供していない企業であることが多いです。また、多様な人材を確保できないことは、企業の成功に悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、この問題をビジネスの優先事項と考えることが戦略的に必須である理由を5つにまとめました。
1. 有能な人材プールの拡大
世界の専門職の半分以上は女性が占めています。しかし、テクノロジー分野で雇用される女性の割合は3分の1にも満たず、有色人種の女性はさらに少ないのが現状です。このことは、テック産業がこの多様な人口を活用できておらず、その結果、優秀な人材へのアクセスが制限されていることを示しています。
- イノベーションの促進
多様性のあるチームは、より早く、より良い形で問題を解決出来ます。ある調査によると、男女比が50:50のチームは、より挑戦心に溢れ、動きも効率的であることが確認されています。また、インクルーシブな文化を持つ企業は、革新的で速度の早い企業である確率が6倍高いという実証も存在します。
- 平等性の促進
テクノロジー業界で働く女性の半数以上が、キャリアの半ばまでに業界を去っており、その割合は男性の2倍以上にもなっています。この業界に留まる女性のほとんどは、昇進の機会が限られていること、男性の同僚と比べて不公平な報酬であること、管理職からのサポートが少ないことなどを理由に、退職を検討してるとようです。
- ボトムラインの改善
従業員を失うことから発生するコストは、給与の1.5~2倍にもなると言われていますが、多様性のあるチームを持つ企業は、そうでない企業に比べて離職率が22%も低くなっています。テクノロジー業界からの女性の離職率は大変高く、このことが企業に与える経済的な影響は多大なるものになっています。さらに、インクルーシブな文化を持つ組織は、そうでない組織に比べて、財務目標を達成または超過する可能性が2倍、高いパフォーマンスを発揮する可能性が3倍、より良いビジネス成果を達成する可能性が8倍高くなるとされています。
- 顧客層の反映
人口の半分が女性であることから、お客様の多くが女性であることは間違いありません。女性がトップに立って意思決定に貢献していなければ、女性顧客のニーズや行動が適切に考慮されていない可能性が高いのではないでしょうか。
多くの企業が、多様な人材を確保することが戦略上不可欠であることを認識していることから、テック業界では、採用段階で女性の割合が増加するという前向きな変化が見られるようになりました。しかし、現在の最大のギャップは、女性人材の確保と昇進にあります。テクノロジー業界の企業は、「あらゆるレベルの意思決定、特にトップレベルの意思決定において多様性を確保するために、新たな女性人材に投資する必要があります」と主張しています。