日本の雇用市場の現状を見てみましょう。
パンデミック前の日本の求人倍率は過去最高の1.6倍。求職者1人に対して約2件の求人がありました。
その後、コロナ禍では募集案件の数が一時的に減少しましたが、2021年に入ってからは急激に回復傾向にあります。今年8月の時点で、応募者数に対する求人数の割合は1.14となっています。
このように、市場がパンデミックから回復していくにつれ、人材獲得競争はますます激化していくことは明らかで、ある調査によると、約80%の企業が自社の業界における人材不足を懸念していると回答しています。
そして、注目すべき点は、女性プロフェッショナルを対象とした調査で、「管理職になりたい」と答えた人は46%と半数にも満たない結果が存在することです。「管理職になりたくない」と答えた人の理由としては、「家族やプライベートを優先したい」、「仕事量を増やしたくない」、「プレッシャーを感じずに働きたい」などが上位に挙げられています。
管理職クラスのポジションが不足している雇用市場で、女性プロフェッショナルはこれらのポジションに就くことを躊躇しており、多様な人材を採用することがより困難になっています。したがって、雇用において働き方や働く環境の柔軟性を高めることが、優秀な女性人材を惹きつけ、維持するために不可欠だと言えます。
雇用者の現状
では、採用を行う企業側の特筆すべき現状とは。
ある調査では、40%以上の企業が多様な人材を採用するための具体的な戦略を持っていないという結果が出ています。ダイバーシティ&インクルージョンの分野で何かをしなければならないことは理解していても、「何をすればいいのか分からない」、「どこから手をつければいいのか分からない」、「やらなければならないことの規模に圧倒されてしまう」、というのが大方の問題意識です。
その問題意識を少しでも具体的な解決策に導くために、いくつかのポイントがあります。
-採用プロセス全体を通して現れてくる無意識のバイアスの存在に気が付くこと
-採用プロセス内で多様性を見失う可能性がある要素を排除すること
-多様な人材を引きつけ、維持するための雇用者側の体制を整え、ブランディングすること
などが挙げられます。
女性管理職ポジションの採用比率を上げるためにも、これらのポイントを押さえる必要があります。
雇用者ブランディング/Employer Branding
今回は雇用者ブランディングについてさらに深堀りしてみます。
多様な人材の層に、いかに自社の名前を知ってもらうか。オンラインでもオフラインでも、女性人材候補とどのように繋がりを保つかが特に課題となることが多いです。これはまず企業が着手すべき一つのポイントです。
しかし、ここで触れておきたいのは、企業が本当に重視しなければならないのは、実は入社後すぐの研修・オリエンテーションの部分なのです。なぜなら、多様性のある人材は入社後3~6カ月で辞めてしまう可能性が60%も高いという傾向があるからです。
それはなぜでしょうか?多くの場合、多様性のある候補者を採用しても、ダイバーシティの浸透がうまくいくための環境が整備されていないからです。つまり、組織にはインクルーシブな文化がまだまだ醸成されておらず、企業が違いを受け入れられず、採用された候補者は自分がこの職場で貢献できると感じられなくなることがあるです。
所属することが決まったら終わりではなく、貢献しやすいと感じられる包括的な環境を育成し、多様な人材がそこに留まることができるように考えていくことが組織にとって非常に重要なことです。
雇用者ブランディングの可能性
このように”雇用者ブランディング”と言っても、多面的なアプローチが存在します。
The Dream Collectiveではそのアプローチをサポートする様々なソリューションをご提供しています。
さらに、一企業のニーズに合わせたブランディングだけでなく、他業種の企業やリーダーのコミュニティーを構築し、総合的なアプローチを実施することをユニークバリュー としています。
2020年、2021年においてもDEIを推進する企業の声を集めて、よりインパクトを図るキャンペーンを行ってきました。
さらに来年3月8日の国際女性デーに併せて、日本企業のダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みや、女性活躍推進の進捗ストーリーを多くの方に知っていただくためのプロジェクトを計画しています。雇用者ブランディングの大きな一歩となるコンテンツを制作して参りますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください!