ダイバーシティ&インクルージョンの議論は、とても長い間、人事の枠内に限定され、「あったらいいな」と思われる文化的要素とされてきました。しかし、インクルーシブな職場環境が商業的にも有益であることを示す証拠が山のように蓄積されている今、そんな時代はすでに終わっています。
また、平等と公平が実質的な変化をもたらすと期待されていましたが、実際にはそうではありませんでした。そこで今回は、さらなる進展を期待して、インクルージョンのビジネスケースについて説明します。
インクルージョンはその性質上、イノベーションにつながり、インクルージョンを採用している企業が業界のリーダーとなる可能性は1.7倍になると言われています。この関連性は、イノベーションが本質的に脆弱なものであることと、インクルージョンを持つ環境が変化を可能にすることから明確になっています。この関連性を理解すれば、多様性のある包括的な企業の収益が19%も高いという事実は、非常に理にかなっており、インクルージョンの商業的利益を実証しています。
このことを理解した上で、インクルージョン、イノベーション、商業的優位性を達成するための基本となる、すべての企業が取り入れるべき3つの重要な考え方をお伝えします。
- “Cultere Fit”ではなく、”Culture Add”を探す
チームを構築する際、「Culture Fit」を求め続けると、完全に均質化されたチームになってしまいます。もちろん、会社の価値観や文化的基盤を捨て去る理由にはなりませんが、「Culture Fit」を求めるのではなく、「Culture Add」となる候補者を探すことが重要です。そうすることで、チーム内の思考の多様性の基礎を築くことができます。このようなチームの意思決定は、87%の確率で他のチームよりも優れていると言われています。
2.すべての努力はトップダウンでなければならない
The Dream Collectiveが行ってきた数え切れないほどのプロジェクトやパートナーシップの中で、私たちは、真の変革はシニアリーダーの賛同なしには達成することが非常に難しいということを学んできました。そのため、組織を変えようとするときには、それがトップから支持されていることを明確にし、実証する必要があります。
3.スプリントではなく、マラソンだ
社会を変えるためには、全力で問題に取り組みたくなるものです。
しかし、ここで気をつけなければならないのは、一夜にして世界が変わらなかったときに意気消沈してしまうことがあることです。これは会社組織の内外を問わず適用できる教訓です。組織的な変化を起こそうとしているのであれば、その問題に全力で取り組み、それを継続させることが大切です。一時的な努力では、前向きな変化に向けた前進にダメージを与えるだけで、信頼は築くよりも壊す方がはるかに簡単です。時間をかけて慎重にステップを踏んでください。
多様性のある包括的な職場環境の利点を示す証拠が次々と出てきているにもかかわらず、このテーマやそれにまつわる取り組みには、数え切れないほどの問題が発生します。社会的にも商業的にも、そのメリットは紛れもないものなので、ぜひ皆さんの組織にも取り入れて頂き、ビジネスがインクルージョンの必要性を証明する、さらなる事例となって頂ければと思います。